2016年7月6日(水)
弁護士会の法教育委員会が実施している「主権者教育」授業の講師として,富山商業高校3年生の一クラスで授業を行いました。
18歳選挙権が認められ,7月10日の参議院議員選挙で投票する生徒がいるということで,県内全域で高校生向けの主権者教育が行われています。弁護士会が全面バックアップ。過去には石動高校でも同じような授業を行っています。
「主権者」とは,国の主人公のこと。生まれたばかりの赤ん坊から老人まで,国民全員がこの国の主権者・主人公です。
「国の主人公」とは何? それは,「自分たちの国のことは自分たちで決める」(民主主義)ということです。そこには,「自分のことは自分で決める」という自己決定権(憲法13条)の考え方が根底にあります。
授業ではこの図を黒板に貼り,国の仕組みと選挙の大切さをまず伝えました。
この図の右下(国会・内閣・裁判所)の位置には,かつては王様がいました(憲法はなし)。王様は国民に縛られることなく国の決まりを作り,重税を課し,戦争をし,気に入らないことを言う国民を逮捕しました。こんなことになるのは,自分たちのことを自分たちで決めていないからだ,それではダメでしょ。ということで,国の決まり(法律)は国民の代表者(国会議員)によって作ることになります。
ここに,選挙の大きな意味があります。自分で決める,自分をまもるための選挙。
こうして自分たちの代表者の作る法律であれば,だいたいの法律は問題がなくなっていきます。
しかし時には,自由を制限しすぎたり,人を平等に扱わなかったりする法律が作られることがあります。代表者の作る法律でも間違いが起こる。
そこであらかじめ「憲法」を作っておき,「基本的人権は侵害してはダメ」「法律も憲法に違反してはダメ」という縛りをかけて,代表者・法律をも縛るのが,憲法です。憲法は国に対する私たちからの命令です。
このような説明の後,若者支援を重視する「あおぞら党」と高齢者支援を重視する「ゆきぐに党」の演説(どっちも弁護士がやります)を聴いてもらって,どの政党を支持するかについて,生徒5~6人ごとにグループ討論をしてもらいました。
そうしたら,素晴らしい意見が出るわ出るわ。なるほど!そういう視点では見てなかったな,という意見がたくさん出ました。あるグループからは「あおぞらもゆきぐにもダメ。第3党を作ります」なんてことも。
生徒たちは,他のグループの意見を聞いて新しい視点・考え方を知り,議論が深まったようでした。選挙では,他の人の意見を聞くことも大切。人が投票するから自分もこの候補に,といって流されるのではなく,いろんな意見を聞きよく考えて「自分のことは自分で決める」ことが大事です,と締めくくりました。
短時間で伝えるのはなかなか難しいですが,楽しい経験でした。
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