2016年8月19日(金)に,高岡市の「守山・二上・能町地域包括支援センター」で開催された「地域ケア会議」という会議に参加してきました。
地域包括支援センターって何?
地域ケア会議って何?
今回はそのことを書いてみようと思います。
地域包括支援センターとは,高齢者が住み慣れた地域で安心して過ごすことができるよう,そのセンターの担当地域に住む高齢者に対し,保健,医療,福祉その他のサービスを総合的・継続的に提供して,地域の包括的な支援を行う総合機関です。介護保険法115 条の46に根拠規定があり,市町村がそれを設置することができるとされています。
富山県内全体で62箇所あり,そのうち高岡市には11箇所あります。
→一覧はここ。※エクセルファイルのダウンロードリンクです。
富山県弁護士会が昨年来富山県内の地域包括支援センターに呼びかけ,センターが直面する法律問題について弁護士が法的なアドバイスをするという事業が,今年4月から始まりました。弁護士会ではこれを「地域包括支援センター支援事業」と呼んでいます。
私は守山・二上・能町地域包括支援センターの相談を担当することになりました。
同センターから初めて受けた相談は,
「ある高齢者が認知症になって金銭管理がうまくできていない。本人にはその自覚がないようだし,援助する家族もない。どうすればよいか。」
といった相談でした(個人が特定できないように相談内容を少し変えています)。
弁護士が高齢者の認知症や金銭管理の相談を受けるときは,通常,その高齢者の家族が相談に来られます。つまり家族の支援を見込むことができるのです。
なので,弁護士の通常の回答は概ね,「本人の判断能力について医師の診断書をもらい,家庭裁判所に成年後見開始の審判(または保佐開始の審判)を申し立てましょう。後見人(保佐人)にはご家族のどなたかがなりましょう。」といったものになります。
ところが今回の相談は,家族の支援がない,本人にも病識がないというのです。う~ん,と考えてしまいます。センターのケアマネジャー(その高齢者のケアをどうするかについて総合的に検討し計画を立てる専門家)もその他の関係者も頭を抱えておられました。
こうした困難事例があったとき,本人の介護や支援に関係する様々な職種の方(例えば医師,保健師,ケアマネジャー,社会福祉士,介護福祉士,民生委員,福祉用具業者など)が集まって,本人の具体的な生活歴や現在の生活状況,病歴,家族関係などの事情を報告し,様々な視点から解決の糸口を探っていく会議が開かれます。これが「地域ケア会議」です(「ケース検討会議」という場合もあるようですが,使い分けはよく分かりません。)。
私が相談を受けた件の高齢者についても地域ケア会議が開催され,初めて私も参加したというわけです。
地域ケア会議では,司会者が限られた時間内で本人の抱える問題点を抽出し,これを集団討議しました。
本人の重要問題は,認知症と不適切な金銭管理です。
私は,①成年後見は無理で保佐相当ではないか,②保佐の場合,本人の法律行為(例えば公共料金や介護サービス契約や支払い)の代理権を保佐人に与える場合は本人の同意が必要,③そうすると本人に認知症の病識がなく金銭の自己管理に固執された場合は金銭管理がうまくできない,といったような話をしました。
もっともこのような話では何も解決しません。その後,私もいろいろ分からないことを質問したり,医師やケアマネジャーなどの意見も出て,社会福祉協議会の日常生活自立支援事業にうまく結びつけることができないか追求するという方向になりました。
制度の隙間がまだまだあることや,地域包括支援センターが困難な状況に置かれた高齢者の支援のために真剣に向き合っていることが理解できた有意義な機会でした。
介護や福祉の最前線にはいつもこのような方々が活躍されているのですね。
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