2016年5月4日,イタイイタイ病資料館で
写真展「イタイイタイ病弁護団の軌跡」を見てきました。
写真は数十枚。提訴から一審判決,控訴審判決を経て,三井金属との間で誓約書と協定書を取り交わすまでの原告団・弁護団の軌跡を追っていました。
写真展は撮影禁止だったのでここではお見せできなくて残念です。
富山地裁の民事部に訴状を提出する場面や,証人尋問直前に近藤忠孝弁護士らが法廷内の机に図面を広げて尋問の準備をしている場面など,今では考えられないアングル(※)で撮影されたものが数多くありました。
また,裁判所による神岡鉱業所や用水路の検証の写真もありました。当時の原告らや弁護団の息づかいが感じられる貴重な写真ばかりでした。
※今では考えられないアングル:現在の裁判所では廊下も含めて構内は全て撮影禁止とされていますが,イ病訴訟の当時は,民事部受付の横や後ろから撮影したり,法廷内での準備,尋問の様子まで撮影できたようです。
撮影は写真家の林春樹さんによるものです。
3年ほど前,神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会(被団協)が保管していた林さんのポジフィルム(現在はイ病資料館に移管されたかもしれません)を見せていただいたことがありますが,ものすごい枚数でした。今回の写真展の写真は数十枚もありましたが,それでも,この膨大な量の写真からピックアップされたごく一部ということです。
ちなみに,イ病の訴訟前~訴訟後の合計約45年間の闘いの中心には,イタイイタイ病対策協議会(イ対協)の会長小松義久さん,副会長の江添久明さんと髙木良信さんがいました。このお三方とイ病弁護団元事務局長の木澤進弁護士(故人)が,45年間にわたるイ病の闘いについて対談した証言記録集があります。
「語り継ぐイタイイタイ病住民運動
―富山・神通川流域住民のたたかい」
ぜひ読んでみてください。
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(実は,私はこの本の編集にかなり深く関わっていたのです。宣伝すみません)
また,イ病について貴重かつおもしろい資料が公開されているので,この際にご紹介しておきます。
旬報社が,過去に発刊した歴史的な出版物を「デジタルライブラリー」としてウエブ上で公開しています。その中に,
「イタイイタイ病裁判記録(第一集)」
があります。→ここで公開。
第二集以降もあるようですが,公開されているのは第一集だけです。
しかし,その内容たるや,訴状,答弁書,原告・被告の準備書面,証人尋問調書,検証調書,裁判官忌避申立書など,当時の訴訟上の闘いがよく分かる興味深い資料です。
実はイ病訴訟の記録集は旬報社ではない出版社から出たものがあり(私はイ病弁護団に加入した時にそれをもらって書棚に置いています。),旬報社が同様の記録集を出版していたことは最近まで知らず,意外な発見でした。
私たち弁護団が持っている訴訟記録集は絶版でウエブ公開もしていませんので,旬報社版はとても貴重な資料ですね。