2016年7月7日(水)
「主権者教育」に続いてその翌日は「高校生消費生活講座」でした。
「高校生消費生活講座」というのは,富山県弁護士会の消費者問題対策委員会が10年ほど前から高校生向けに行っている消費者教育の一つです。富山県消費生活センターとタイアップし,県内の多くの(実数は分かりませんがかなり多くの数だと聞いています)高校に弁護士を派遣して,若者が遭いやすい消費者被害の実態や契約の基礎について講義しています。
私はここ数年,県立砺波高校に派遣されており,今年も同校の1年生約200人にお話をしてきました。
高校生が遭遇するものといえば,やはり携帯・スマホが発端となる被害です。
私の携帯やスマホにも毎年何件かの詐欺メールが届きます。それをネタにして,奴らはどうやって騙してくるのか,どこが騙しのポイントなのか,といった騙しのテクを披露しています。
今年はさらに「デート 商法」の手口も話してきました。
2016年7月6日(水)
弁護士会の法教育委員会が実施している「主権者教育」授業の講師として,富山商業高校3年生の一クラスで授業を行いました。
18歳選挙権が認められ,7月10日の参議院議員選挙で投票する生徒がいるということで,県内全域で高校生向けの主権者教育が行われています。弁護士会が全面バックアップ。過去には石動高校でも同じような授業を行っています。
「主権者」とは,国の主人公のこと。生まれたばかりの赤ん坊から老人まで,国民全員がこの国の主権者・主人公です。
「国の主人公」とは何? それは,「自分たちの国のことは自分たちで決める」(民主主義)ということです。そこには,「自分のことは自分で決める」という自己決定権(憲法13条)の考え方が根底にあります。
授業ではこの図を黒板に貼り,国の仕組みと選挙の大切さをまず伝えました。
この図の右下(国会・内閣・裁判所)の位置には,かつては王様がいました(憲法はなし)。王様は国民に縛られることなく国の決まりを作り,重税を課し,戦争をし,気に入らないことを言う国民を逮捕しました。こんなことになるのは,自分たちのことを自分たちで決めていないからだ,それではダメでしょ。ということで,国の決まり(法律)は国民の代表者(国会議員)によって作ることになります。
ここに,選挙の大きな意味があります。自分で決める,自分をまもるための選挙。
こうして自分たちの代表者の作る法律であれば,だいたいの法律は問題がなくなっていきます。
しかし時には,自由を制限しすぎたり,人を平等に扱わなかったりする法律が作られることがあります。代表者の作る法律でも間違いが起こる。
そこであらかじめ「憲法」を作っておき,「基本的人権は侵害してはダメ」「法律も憲法に違反してはダメ」という縛りをかけて,代表者・法律をも縛るのが,憲法です。憲法は国に対する私たちからの命令です。
このような説明の後,若者支援を重視する「あおぞら党」と高齢者支援を重視する「ゆきぐに党」の演説(どっちも弁護士がやります)を聴いてもらって,どの政党を支持するかについて,生徒5~6人ごとにグループ討論をしてもらいました。
そうしたら,素晴らしい意見が出るわ出るわ。なるほど!そういう視点では見てなかったな,という意見がたくさん出ました。あるグループからは「あおぞらもゆきぐにもダメ。第3党を作ります」なんてことも。
生徒たちは,他のグループの意見を聞いて新しい視点・考え方を知り,議論が深まったようでした。選挙では,他の人の意見を聞くことも大切。人が投票するから自分もこの候補に,といって流されるのではなく,いろんな意見を聞きよく考えて「自分のことは自分で決める」ことが大事です,と締めくくりました。
短時間で伝えるのはなかなか難しいですが,楽しい経験でした。